刃物の木屋の創業は寛政四年四月(1792年)とされています。
初代加藤伊助が本家の木屋から「のれんわけ」して独立した店舗を持つことを許されたのがこの 寛政四年四月なのです。本家の木屋の祖初代林九兵衛は、はじめ藤原姓を名乗る家柄で、 大阪で豊臣家の薬種商としての御用商人だったが、家康の招きで当主の弟が江戸へ下り
本町二丁目に店を持った。大阪の店と分かれたので姓の林を二つに分けて木屋を称したものだそうです。
創業は天正元年(一五七一年)。明暦大火(一六五七年)後に、室町一丁目に移り、将軍家を はじめ諸大名のひいきを受けて栄え、暖簾を分けた打刃物木屋、三味線木屋、化粧品木屋、文房具木屋、象牙木屋など数店舗が並び「室町に花咲く木屋の紺のれん」とうたわれた、と明治 三十四年刊行の「東京名物志」で紹介されているそうです。 この本家の木屋は江戸時代には小間物・塗物・蝋燭等の謂わば現在の総合商社的存在であったと 思われます。